月下の幻 太陽の偽り (仮)
その扉を開けた時、胸の重みがスッと消え、白い世界がふっと一気に暗くなった。

いや、暗くなったと言うより元に戻ったと言った方が正しいだろうか。

気がつけばそこは暗い教会のままだった。


「あ…れ…?」

私は呆気に取られた。

今のは何だったのだろうか、分からずじまいのまま私は手を添えた扉のノブを閉めようとした。

ギィィィン!

しかし、閉めきる寸前でまたあの金属音がした。

また私は戦慄を覚えたが、不思議な事に今のは先ほどよりも離れた場所からだった。

多分一回目よりも遠いだろうか。

私は恐る恐る扉を開けて外を見た。

そして目に飛び込んで来たのは、二つの人影だった。

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