月下の幻 太陽の偽り (仮)
「神秘の式町、全国治安率20年連続ナンバー1…か。」

広げた雑誌の一面、仰々しいまでのその決め文句を無表情で見下ろしていた。

手持ち無沙汰に広げていた雑誌を数ページほど適当に捲り、興味のある話題にたどり着く事もなく閉じた。

静かな喫茶店にテーブル上のカフェラテの芳香な香りと静かなジャズの音色が夕方の店内を彩っていた。

客足の悪い時間帯なのだろうか、私以外に人はいない。

いや、私達と言うべきか。

私自身来たくて来た訳じゃない。

そう、例えるならおまけみたいな物だ。
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