月下の幻 太陽の偽り (仮)
昼間と言うこともあり、前回よりも10分程早く目的地に辿りついた。

夜中の暗い森のなかに突如として現れた白のコントラストを放つ教会も雰囲気抜群だったが、昼間でも光を遮る森の中、影の隙間を潜った僅かな光が見せる不気味に映える教会の白も幻想的だが怖くもあった。

「着きましたぁ。これがみんなの見たかった森の教会ですよぉ。」

そんな雰囲気をぶち壊しかねないほどの猫なで声で意気揚々とカメラを回す瑞穂を横目に私はキョロキョロと周りを見回す。

(やっぱりいないか…)

解ってはいたが、ガラフはそこにはいなかった。

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