月下の幻 太陽の偽り (仮)
アリン
大学の休講日、そんな日の午前は生憎の雨だった。

窓ガラスに余すことなく水滴が付くのをため息混じりに見ていると、終いにはゴロゴロと雷まで鳴り出した。

小学生の頃から使い続けた机の上には透明なグラスに入れたインスタントのアイスコーヒーが、溶けた氷の勢力を強めコーヒーを薄口にしていく。

まだ中程まであるコーヒーを私は掴んで、窓をから外を見た。

(真夜中に来いって言われても…)

昨日のガラフの言っていた事を思い返していた。

ガラフは色んな事を言っていた。

ガラフは真夜中でないと実態を持てないと言っていた。

実態を持てない…それはどう言う意味なのかまだ分からない。

ただ言えるとすれば真夜中に行けばガラフに会える。それだけは解った。

他には、あいつはあの本の事を「神具」と言っていた。

後は私が預言者だったと言っていたか。

「預言者…」

ふと口にしてみたが、私には未来を見ると言う非現実的な能力は持ち合わせていない。持ち合わせた事もない。

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