ALL-最初で最後-
廊下に出ると、待っていたのは逞だった。

「紗希…」


顔を見たくない。
見たら、泣いてしまいそうだから…。

「な、何か用?」

もう何も聞くことなんてないよ。
私達は別れたんだから。

「紗希、ごめん。今日放課後話したい。」

「私は何も聞きたくない。」

これ以上私を悩ませないで。
これ以上私に関わらないで。
早くあなたを忘れたいの。
逃げてるってわかっていても、今私はどうするべきなのかわからない。

「放課後迎えに来るから…」


そう言って、逞は自分の教室に帰った。
ふったのは逞なのに、今更こんなことしないでほしい。


時間の流れが早く感じた。
窓の外では、部活の準備をし始めた。
話したくないと言いつつも、私は逞を待っていた。

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