ALL-最初で最後-
誰もいなくなった教室。

「遅くなった!ごめんな。」


逞が来たのは、授業が終わってから15分後。

「うん…」


窓の外をずっと見ている私に近付く足音。

―コツンコツン

「俺…お前の気持ちわかってなかった」

空は青い。

「俺、紗希のことちゃんと好きだった。」

だった…。

青かった。
私の恋はまだまだ青かった。
恋なんて呼べないかもしれない。

「うっ…ん」

涙が出る。

「じゃあ。それだけだから。」
こんな私を好きになってくれて、ありがとう。
ちゃんと見ればわかったじゃん。逞の気持ち。


外に出ようとした、逞に

「逞、ありがとう。」



それを言うと逞はこっちを向かず、私に手を上げて帰っていった。
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