血も涙もない【短編集】
てか、笑う余裕もねぇくらい血が足りねぇ。
景色がぐるぐる。
足元ぐらぐら。
誰か僕にレバーを下さい。
なーんてな、俺レバー嫌いだからいらねぇよ。
「はぁ…保健室で休も」
って俺これでも保健室の先生なんだけどさ。放課後はいつも誰も居なくてさみしーの。だから、こうして学校探検してたんですよ。
でも、戻ります。
大人しくしてます。
だって大人だもん。
……なんか恥ずかし。
保健室のドアを開けると、珍しく生徒が居た。
「ちゃお!せーんせっ」
「お前かよ」
「嬉しいくせに」
「バカか」
ってか、久々だな。
確か最近兄貴が死んで、
学校来てなかったはずなのに。
そして、こいつの兄貴はただ死んだ、だけじゃない。
「ねぇ、先生」
「あ?」
「あたし病んでる」
「……だろうな」
殺されたんだ。
でもって俺は、その犯人を知っている。