血も涙もない【短編集】




てか、笑う余裕もねぇくらい血が足りねぇ。

景色がぐるぐる。
足元ぐらぐら。
誰か僕にレバーを下さい。
なーんてな、俺レバー嫌いだからいらねぇよ。


「はぁ…保健室で休も」


って俺これでも保健室の先生なんだけどさ。放課後はいつも誰も居なくてさみしーの。だから、こうして学校探検してたんですよ。

でも、戻ります。
大人しくしてます。
だって大人だもん。
……なんか恥ずかし。

保健室のドアを開けると、珍しく生徒が居た。


「ちゃお!せーんせっ」

「お前かよ」

「嬉しいくせに」

「バカか」


ってか、久々だな。
確か最近兄貴が死んで、
学校来てなかったはずなのに。

そして、こいつの兄貴はただ死んだ、だけじゃない。


「ねぇ、先生」

「あ?」

「あたし病んでる」

「……だろうな」


殺されたんだ。

でもって俺は、その犯人を知っている。






< 16 / 67 >

この作品をシェア

pagetop