血も涙もない【短編集】
「…夜尋」
「何?先生」
「お前さ……」
復讐とか考えてるか?
と、口にしようとして
言葉を飲み込む。
そんなこと聞かなくても、
こいつの目を見れば、
答えは解る。
鋭く光ったその目には、
もはや復讐の文字しかない。
「ふふ。あたし、先生のその目嫌い」
「どうして?」
「ん?だって、その目は人の気持ちを探ってる時の目だもん。それに……」
「それに?」
「多分、先生の答えは当たってる」
「……ふ。だろうな」
俺は知っている。
こいつ、夜尋がどんなヤツなのか。
兄貴が大好きだってことも、
こいつが、殺し屋だということも、だ。
「やだなー。先生にはなんだってお見通し」
「やめろ。足を組むな。おパンツが見えちまうだろ!その角度、ちょっとエロいしな。鼻血が出たらどうする!」
「しらねーよ変態教師」
お前は知らなくても、
俺はこれ以上血を流すわけにはいかねぇんだよ。
わかってくれ、俺の理性が飛ぶ前に。