血も涙もない【短編集】
子供は昔から嫌いじゃない。
むしろ好きだ。
ちっさい手とか、
ぷくっとした赤いほっぺとか、
キラキラした目とか、
無邪気な笑顔とか、
とりあえず可愛いとことか。
なんて、語り出すと、
横でヤキモチを妬く彼女が居て。子供にまで妬くななんて言いつつ本当はスゲー嬉しくて、可愛くて。
お前が一番好きに決まってんだろって、口にはしたことなかったけど。
一度くらい言っとけば良かったなって。
「ゆーれいさん?」
「ん?あぁ、ごめんごめん」
……………って、
「え!?」
「ん?」
今なんて……
「どうしたの、ゆーれいさん。かいらちゃんのおかおになんかついてる?」
「ゆーれいさん、て。俺が幽霊だって分かるの?」
「ん?うん!わかるよ。だってね、おにいちゃんみたいにスケスケなんだもん」
初めから分かっていたとでも言うような口振りだった。
分かっていて何故怖がらない。何故逃げない。
何故普通にしていられる?
そういえば、
「お兄ちゃんも、スケスケってどういうことだ?」