血も涙もない【短編集】
自分の腹から血が出ている。ナイフで刺されたと知ったのは先生の真っ白い白衣の上に絵の具の様な赤が溢れて、しばらくしてからだった。
「ついでに言うと、生徒でもないくせに先生とか呼ぶなよ、萌えないからさ」
先生のその声はまるで、
勝ち誇ったかのようなそんな声。
「もう、先生っ!あたしは協力してって言ったの!死にかけてなんて言ってないよ!」
「助かりました」
「……まぁ、いいけど別に」
あたしの背後から、
この学校の制服を着た女が顔を出す。いつの間にあたしの後ろに?背中から腹まで貫通するほどの勢いで、ナイフを刺した?
そんなの普通の人間に出来るはず…
「……あんた、まさか」
腹を抑えて振り返る。
その女は、けろっとした顔であたしの顔を見た。この殺人に馴れている感じ。間違えない、
「殺し屋」