追憶の詩 -浮世抄華-
「トシ、居るか?」
「しぃーー」
部屋にやって来た近藤さんに、私は人差し指を唇に当て、静かにしてもらった。
近藤さんは慌てて口を紡ぎ、こちらに近付いて来ると、土方さんの顔を覗き込んだ。
「なんだ…、寝ていたのか」
「はい…。最近、徹夜ばかりで疲れていたみたいで…」
あえて、沖田さんの事は言わなかった。
土方さんを休ませる為に協力を頼んだのは私だから、そのせいで彼が怒られるのは申し訳ない。