追憶の詩 -浮世抄華-


「トシ、居るか?」




「しぃーー」




部屋にやって来た近藤さんに、私は人差し指を唇に当て、静かにしてもらった。




近藤さんは慌てて口を紡ぎ、こちらに近付いて来ると、土方さんの顔を覗き込んだ。




「なんだ…、寝ていたのか」




「はい…。最近、徹夜ばかりで疲れていたみたいで…」




あえて、沖田さんの事は言わなかった。




土方さんを休ませる為に協力を頼んだのは私だから、そのせいで彼が怒られるのは申し訳ない。





< 32 / 155 >

この作品をシェア

pagetop