追憶の詩 -浮世抄華-
第1詩 華散りし春の現
これは伊東さん達が入隊して次の年の話――。
3月某日。
私は土方さんの部屋にお茶を運んでいた。
「土方さん、お茶をお持ちしました」
「入れ」
中から短い返事が聞こえると、障子を開け、中に足を踏み入れた。
相変わらず、彼は文机で仕事をしている。
「此処に置きますね」
「ああ…、すまねぇな」
文机にお茶を置く時、土方さんの顔を見た。