追憶の詩 -浮世抄華-


京の夏はかなり暑い。




暑さに加え、蝉が短い生を全うしようと一斉に鳴いている。




それが余計に暑さを際立たせていた。




「あぁ~、苛々して来た。一君、このうるさい蝉を黙らせてよ」




沖田さんは団扇で扇ぎながら、縁側に横になっている。




「無理だ。何匹居ると思っている」




私の横で団扇で扇ぐ斎藤さんは沖田さんの問いに、冷静に答えた。




斎藤さん、突っ込む場所違くないですか…?





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