初恋が終わる頃に





こういう現実逃避って結構有力なのかも知れない。



一瞬でも辛い事を忘れられるのは、とっても心を楽にさせてくれるから。



すると、彼は立ち上がってそのまま帰るのかなと見ていたら、公園の自動販売機で缶コーヒーを2つ買っていた。



「はい」



「あ、ありがとうございます…」



渡された1つの甘いカフェオレは、温かくて両手の体温を戻してくれた。



次第に息を吐くと白い息が漏れて、真冬だと実感される。



「とりあえず、悲しいなら周りを頼れ」



またポツリと彼は言葉をあたしに浴びせた。



どうしてそんな事を言われなきゃいけないのだろう…



優しさは伝わってくるし、気遣いもしてくれる彼は、きっと良い人。



だけどその優しさは今のあたしには痛く感じる。



甘やかされそうで怖い。





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