初恋が終わる頃に
すると彼は、うーん、と空を見上げて何か考えているようだった。
正確な時間を知りたいとかじゃなくて、大体でいいんだけどな…
「たまたま用事で公園の前を通った時、お前が見えて」
「あたしだけ?」
「おう。それでよく見ればお前、泣いてたし」
泣く姿を見られてたのは、ショックだったけど…修羅場は見られてなかったんだ。
そこでほんの少しだけホッと安心して、胸を撫で下ろした。
「なんかあったのか?つか、あったんだよな」
「大丈夫ですよ?自分の事は自分で何とか出来るし、あたしよく泣いちゃうから…日常茶飯事みたいなものですよ」
今回は泣いても許してくれるよね、陸…
この場にいない陸の事を考え、あたしはまた惨めな気持ちになった。
「…人を頼れよ」
「出来たら、いいのに」
彼はそれから何も言わず、また二人の間に沈黙が流れ、次第に空は暗くなりつつあった。