初恋が終わる頃に
そろそろ帰らないと、親も心配するし…
彼はどこに住んでるんだろう?
公園の前を通るって事は、そんなにここから遠くはないのかな。
本当に暗くなってしまうと彼にも悪いので、あたしは話を切り出した。
「帰りましょう?もっと冷えてきますし」
「…あぁ。じゃーな」
結局、お互い名前さえ明かさずに別れを告げて解散した。
もう滅多に会う事もないだろうし、会ったとしても今日の事で話すのも気まずい。
「これっきりにしよ…」
あたしは謎の彼に元気をもらえた気がして、少し立ち直る事が出来た。
そのまま家に帰って何でも無いような顔で過ごす。
本当は泣いてしまいたいくらい心に傷がついてるのに、泣けない。
何故だか、彼が言った言葉やその時の表情が頭に残って離れない。
陸、あたしちょっぴり成長したよ?
最初から好きじゃなかったとしても、嫌いではなかったから付き合ってくれてたんだよね?
あたしはいつまでも待つから…早く戻ってきてよ。