初恋が終わる頃に
じっと何かを見つめる真美は、あたしの肩をトントンと勢いよく叩いた。
あたしも真美と同じ視線を見つめると…そこに。
「…あ」
先に口を開いたのは、向かい側にいた…彼だった。
少し離れた先にいるけど、小さな彼の声に耳が敏感に反応する。
今日は学ランではなくてユルッとした私服。
最初誰か分かんなかったけど、あんな外見じゃ間違えるはずもなかった。
冷たくて優しい人。
あたしは恥ずかしそうにもペコリと頭を下げてみる。
彼は吸っていたタバコを地面で消して、頭を軽く下げ返してくれた。
たったそれだけなのに優しそうな笑顔を彼は向けてくるんだ。
「じゃ、あたし帰るね!」
真美が急にあたしに耳打ちをしてきて、ハッと状況に引き戻された。
「送るよ?」
「大丈夫、彼と話したかったんじゃないの?頑張りなさいよ」