初恋が終わる頃に
真美はニカッと歯を見せて微笑むと、背中をポンと叩いてあたしは勢いで一歩前に足が進んだ。
振り返ると真美は既に、背中を向けて帰って行くようで…まさか彼と二人きりになるなんて思ってもいなくて。
「…」
何も言葉にならなくて、あたしは視線を地面に向けた。
すると前から歩く砂の音が聞こえて、パッと前を向けば彼がすぐ側まで来ていた。
自然に後ずさりしてしまったあたしは、本当に申し訳ない…
「何で逃げんの」
ポツリと言った彼は何故か悲しそうな目をしている。
彼の悲しい顔が嫌で、あたしは黙って首を横にブンブンと振った。
初めて出会った時は平然とした顔で、あたしに話しかけてくれてたはずなのに。
今、どうしてそんな切なそうな表情をしているの?
…なんて本人には言えないから、黙って心の中で問いかけた。
「この前は、ありがとうございました」
姿勢を戻して、真っ直ぐ彼の目を見てお礼をすれば…また彼は一段と悲しい目をしている。