初恋が終わる頃に
あたしの言葉で、彼の表情が少し柔らかくなった気がした。
ベンチを照らす電灯で、彼の表情が分かる。
でもそんなに見つめると気に触ると思い…彼が前を向く度に、そっと覗く。
「何?」
「あ…」
バレないと油断しながら彼に視線を送っていると、パッとあたしの顔を見た彼が気づいた。
「つい…見とれてしまいました」
正直に訳を話すと、彼はクスッと手で口を隠しながら笑っていた。
「変な奴だな」
「変じゃ、ないです」
笑ってくれただけで、あたしの心の中も軽くなった気がする。
何でこんなに彼の表情であたしの感情が左右されるのだろう。
今のあたしには、分かんない疑問。
それから数十分、二人は何気ない会話を交わしてその場に浸った。
だけど…