初恋が終わる頃に
「そろそろ…教えてほしいです」
スカートの上で両手をギュッと握りしめて、話を戻した。
どうして前のような表情じゃないんですか?
何かあったんですよね?
それは辛くて悲しいモノなんですよね?
あたしには、教えてはいけない事なんですか?
彼は何の事かと一瞬シラッとしたが、すぐに思い出すかと思うとポケットからタバコとライターを取り出して火をつけた。
「…知りたい?」
「はい。失礼じゃなければ」
煙を口から吐き出す姿を、ただ横から見つめる。
喫煙者って事は…少なくとも未成年ではないんだよね。
見た目は19歳ほどの今時の若い男の人で…とても落ち着きのある人。
あたしに比べれば、とても大人っぽい人。
そんな彼が落ち込む理由って、多分あたしの悩みよりも倍以上に大変なんだろうと思った。