初恋が終わる頃に
「お前が帰った後、俺も公園を出た。そん時、ちょうど女が男の車から出てくるのを目撃した」
「…」
彼は今でも泣きそうな顔で話し続ける。
「頭ん中、真っ白になった。さすがに1年も付き合ってた女に、浮気相手がいたとか…信じられるかってな」
馬鹿らしい話をするような、そんな軽い口調でサラッと言う彼。
でも…あたしが一番馬鹿なのかも知れない。
「ごめんなさい…」
「は?」
あたしは彼の傷ついた心に、塩を塗った思いだった。
理由がなんであろうと、悲しい悩みだって感じとっていたはずなのに。
彼の今の表情はきっとあたしが悲しませた表情なんだと。
彼は吸い終わったタバコを遠くの方へ放り投げる。
吸い込まれるようにどこかへ飛んでいってしまったタバコは、彼の心のように。
…あたしの心のようだった。