初恋が終わる頃に
「そういえば、名前…何?」
「え?…佐倉瑞樹です」
「俺、千葉優木な」
突然の質問に驚きながらも答えると、彼も自分の名を名乗る。
千葉優木…
心の中で何度か名前を唱えて、自分で自分の涙をゴシゴシ拭った。
泣き顔は、見せたくない。
「佐倉は、無理しなくていい」
初めて名前を呼んでくれた彼は、とてもニッコリ微笑んでいた。
どうしてまたあたしが…元気をもらっているんだろう。
そっとあたしの髪を撫でる彼の手は、すごく温かくて安心した。
「千葉さんも、無理しなくていいです」
「千葉さんって…優木でいいから」
クスッと笑われたけど、それだけですごく嬉しい。