初恋が終わる頃に
「あたし、陸(リク)が好きだよ?」
「知ってる…」
それでも離れちゃうの?
初めから好きじゃなかったの?
さっきまで…ううん。今まであんなに仲良くしてきたはずだったのに。
カップルになれた時からも、お互い想い合ってきたんじゃないの?
心の声がズカズカとお構いなしに溢れ出してくる。
徐々に溢れ出す涙をグッと堪えると、ベンチから立ち上がっていた陸が前へと進み始めた。
置いてっちゃうの?
引き止めたい気持ちとは裏腹に、あたしの身体はピクリとも動かない。
陸がそのまま振り向きもせずに公園の入口へと黙々と歩いている。
「……り、く…っ!」
やっとの思いで口から出た陸の名前と同時に、動かなかった身体が急に解放されてベンチから立ち上がった。
その瞬間に首に巻いていた赤いマフラーが取れ、砂の地面に落ちてしまった。