初恋が終わる頃に
優木。
なんて呼び捨ては悪いだろうから、君付けで呼んでみよう。
涙が枯れるのを待ち、あたしはスゥと大きな深呼吸をする。
長い時間を過ごしたわけでもなく、多分何十分という短い間だったと思う。
だけど優木くんの事が少しでも分かった気がしたんだ。
「…優木くんが元気じゃないと、あたしが辛いです」
「何で俺?」
「分かんないです。だけど今の優木くんを助けてあげたいです」
少しだけ腫れた目でニコッと微笑むと、優木くんはあたしを見て不思議そうな顔をしていた。
ちょっとでもいい…元気になってもらいたくて。
一生懸命の笑顔を見せたいけど、さすがに泣いた後の表情はノリが悪い。
「ありがとな。俺も気引き締めないと」
ベンチでグッと伸びをした優木くんは、とても強く見えた。