初恋が終わる頃に
シルバーの指輪
あれから結局、優木くんの事情を詳しくは聞けなかった。
思わず入り込むと、また傷つけてしまいそうで怖かった。
流れで別れを告げて家に帰ると、リビングの時計が21時を指している。
「はぁ…」
お母さんはお風呂に入っているのか、浴室からシャワーの音が響いていた。
お父さんは仕事の残業なのかまだ家には帰っていなくて、リビングには誰もいない。
あたしは重い足取りで階段を駆け上がり、自分の部屋に入る。
今日は眠れそうにないかも…
優木くんの悲しげな表情が頭の中から離れない。
連絡先さえ聞いていないので、またいつ会えるのかさえ分かんない。
優木くんの悩みを取り除いてあげるのは…あたしじゃないのかな。
ベッドに潜り込んで、携帯を開くと真美からメールが届いている。
ピッと受信BOXを開いて内容を覗き込んだ。
"帰ったら連絡して"
絵文字と一緒に送られてきた文章は、とてもシンプル。