初恋が終わる頃に
担任が期待したような目であたしを見るから、ふいっと視線を外してみた。
察知したのか、ガクンと大袈裟に肩を落とす担任。
「親御さんも心配してないか?俺はかなり焦ってるぞ」
「まだ考えてるんです。急かされても頭の中パンクします」
冷静に返すと、『今日は帰っていいぞ』とだけ言われてしまった。
進路が決まっていないのは、もしかしてあたしだけなのかな?
…真美は短大に入るって言ってるし、他の子もきっと目標があるんだろうな。
一礼して職員室を出ると…そこには見間違えるわけがない人が立っていた。
「陸…」
扉を開けて目の前に飛び込んできたのは、陸だった。
陸もあたしに驚いたのか、無言で身体をビクッと跳ね上げる。
「久しぶりだな」
特に気まずそうな雰囲気を見せない陸は、自分の髪を手でクシャッとしながら言った。