初恋が終わる頃に
…って言っても、付き合ってても陸は最初から好きじゃなかったらしいし。
その時点でそれ以上の嘘なんて、何も悲しめないけど。
陸は"じゃーな"と言って、あたしの横を通りすぎようとした。
「あ…あたしも」
「え?」
「あたしも進路なんてまだ決まってないよ」
ポツリと陸の背中に投げかけた言葉。
驚いて陸は振り返ったけど、あたしも背を向けていて本当のところ分からない。
だけど陸の視線がしていたから、きっと…
「でもね、大学は夢だったよ」
「だったら…」
「…でも今は分かんないや」
あたしはそう返すと、教室までの廊下を歩き出す。
このまま陸といれば、また欲張りになってしまうから。
これ以上…好きにさせないで。