初恋が終わる頃に
"制服で来ればいいんじゃね?"
と郁人から面接のアドバイスをもらい、あっという間に月曜日を迎える。
あれから数日経ったけど、学校でも陸と会う事はなかった。
そして…優木くんに会う事も当然ない。
むしろ公園さえも立ち寄らないあたしは、もしかしたら優木さんがいてるかも…なんて時々考える。
「じゃ、準備オッケー?」
「オッケー」
郁人に連れて行かれるがまま、あたしは後ろにくっつくように駅から歩く。
駅前には最近オープンした店がずらりと並んでいて、どこが目的地なのかワクワクする。
しばらく歩けば、郁人は立ち止まり店の大きな看板を見上げる。
「ここ」
「…初めて見た」
つい先月オープンした喫茶店は、お客さんが沢山来店していて、店の外からでもコーヒーのいい香りが漂う。