初恋が終わる頃に
まだ冬休みには入っていないが、今からでも働いて仕事を覚えたいと郁人は言ってた。
ドキドキと緊張する胸を撫で下ろして、郁人の後から店へと足を踏み入れる。
「いらっしゃいませー」
若い男の人がニッコリ笑顔であたしを迎えてくれた。
郁人は頭を下げて"おはようございます"と挨拶を交わす。
あたしもつられてペコリと頭を下げた。
「こいつがバイト希望者っす」
「おお。瑞樹ちゃんだっけ?話は聞いてるよー!どうぞ、ついてきてね」
郁人は別の個室に入って行き、あたしは若い男の人の後ろをついていく。
きっと事務所に入るのだろう。
なんて思ってると、奥の部屋から若い女の人が出てくるなり、あたしと目が合う。
「こちらが、店長さんだよ」
「えっ、あ…よろしくお願いします!」
男の人に紹介されて、あたしはハッとなり挨拶をした。
美人な店長はあたしを見てクスッと笑った。