初恋が終わる頃に
「そんな緊張しなくて大丈夫よ?よろしくね」
そう言われて、緊張が少し抜けると気づけば男の人は仕事に戻ってしまった。
奥の部屋はやはり事務所になっていて、案内される。
パイプ椅子に座り、店長も向いの椅子に座って机を挟むようにお互い向き合った。
「郁人くんの友達なんだっけ?」
「はいっ。学校の同級生で…」
「二人共良い子そうね。採用♪」
「…え?!」
思わず大きな声を上げてしまい、自分が恥ずかしくて耳を赤くする。
こんなに簡単に採用されるなんて今までなくて、店長の顔を見開いた目で見た。
「そんな驚かないでよ~。私、こう見えて適当なのよ。堅苦しい店は目指してないの」
そう言われて納得とはならないが、きっと店長も店の景気の事も考えているんだろうと思った。
というか、こんな若い美人の店長がいれば客が来るに違いないし…