初恋が終わる頃に
店長があたしにポカンと口を開いた瞬間。
パチンッ
冷めたような音が、店内に響き渡った。
それを聞いたのか…優木くんは事務所から飛び出してくる。
「おい!」
郁人はあたしの側まで来て必死に止めようとしてくれた…が、郁人の手を振りほどいて店長を睨んだ。
もう、遅い。
「見損ないました」
「…ひどい」
「ひどいなんて、自分がした事に比べれば対したもんじゃないはずです。大切な人なら、どうして裏切るんですか…?」
もう目にいっぱいの涙が溜まり、今でも悔しくて泣きそうになった。
だけど今泣くと負けた気がして、泣くわけにはいかない。
店長は呆然とあたしを見ながら、あたしに叩かれた頬に手をあてていた。
ジンジンと痛いだろうな。