初恋が終わる頃に
それ以外、何も発する言葉が思いつかなかった。
優木くんの恋愛に踏み込む…勇気なんてないから。
あたしはニッコリと目の前にいる優木くんに笑顔を向けて、鼻をすすった。
だけど、あたしの想いを知った優木くんは納得いかないような、そんな表情であたしを見る。
「佐倉は俺を応援してくれんの?」
「…はい。それで幸せなら、あたしも幸せです」
心の本音はこんな事言いたくない…むしろ"側にいて"って伝えたいよ。
知り合って間もない、そんなあたし達が求める関係なんて、今を続ける事しかなくて。
それから長い沈黙になってしまい、涙もいつしか止まっていた。
「悪い…店に戻っていいか?」
優木くんが自ら沈黙を破ると、うつむいて申し訳なさそうに呟く。
コクリと黙って頷くと、あたしの頭をそっと優しく触れてから背中を向けて公園を出て行った。