初恋が終わる頃に
「…何で泣いてんだよ」
そこには知らない男の人が、学ラン姿で立っていた。
しかもあたしに向けて声をかけている。
誰なのかも分からない人に、泣き顔を見られてしまい、慌ててセーターの袖で顔を隠す。
「だ、誰ですか」
「…どうだっていいだろ。それより理由聞かせろ」
強引な口調で、だけどどこか優しく心配してるようにも見えた。
茶髪に無造作にセットされた彼は、どこか奥深い瞳をしていて…つい見とれた。
あたし、馬鹿だ。
こんな時に知らない男に見とれてるなんて。
だけどそれも仕方ない…だってすごく優しい顔をしてるんだもん。
でも陸とは別に、物事を言うのがキツい人なんだと大体察知した。
って何で陸とこの人を比べてるんだろう、自分。