初恋が終わる頃に
大きな背中と手
扉の鐘の音が店内に響き、あたしは足を踏み入れる。
あたしが責められても…別にどうって事ないんだ。
優木くんがせめて笑顔の数が増えるなら、なんだって耐え切れる。
最初に姿が見えたのは、ちょうどレジを終えた上野先輩だった。
「瑞樹ちゃん?」
まさか次の日にあたしが来るなんて、思ってもいなかっただろう。
ましてや、シフトがあるにしても…ね。
「おはようございます」
少し微笑みながらも挨拶をすると、上野先輩は安心したように笑顔を返してくれる。
「詳しい話は店長から聞いたよ」
気まずそうに話し出す上野先輩。
先輩でさえ、問題の出来事を知らなかったんだ…
「あの、店長いますか?」
「今は打ち合わせで居ないよ。もうすぐ帰ってくると思うけど…大丈夫?」