初恋が終わる頃に





「はい。あたしが膨らませた事ですから…ちゃんと話し合いたいんです」



正直に話すと、"そっか"と少し悲しそうな目で返された。



先輩がカウンターに戻り接客に戻るのを確認すると、あたしは事務所へ足を運ぶ。



事務所の目の前で立ち止まった時、ちょうど扉が開いてバッタリ鉢合わせた。



「偉いな」



「郁人…」



素直に店に来たあたしを褒めるように、表情が崩れた郁人も、どこか悲しそうな目をしている。



郁人は事務所を出ようとしていたんだろうけど、あたしが事務所に入るのに続いて再度入ってきた。



机を挟んであたし達は椅子に座ると、郁人が先に口を開いた。



「朝、店長に会った」



「ん…うん」



「お前と話がしたいって言ってたから」



「うん」



「それだけ」





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