初恋が終わる頃に
「…瑞樹ちゃん、ちょっと事務所に来て?」
「…はい」
当たり前にお客さんは何も知らず、のほほんと会話に盛り上がっている声が耳に入る。
ちゃんと話さないと…
あたしは店長に言われた通り、店長の後から事務所へ入った。
またさっきのように椅子に座ると、店長から口を開く。
「昨日は…ごめんなさい」
「え?」
「私、優木の事ちゃんと考えたの。優木以外の男と一緒になるのは…有り得ない」
じゃ、どうして浮気なんてしたんですか?
聞きたいのに、喉が詰まって言葉に出せないでいる自分が、弱い。
だけど店長の今でも泣きそうな表情で話すから、余計に何も言えなくなる。