初恋が終わる頃に
無駄な嘘をつくより、素直な優木くんにあたしも素直な気持ちをぶつけたくて。
店長は何とも言えない悩むような顔で、あたしの目をじっと見つめてくる。
まるで…"私の優木をとらないで"なんて訴えかけるように。
だけどあたしの心は、そんな単純な理由で諦める程軽いものじゃないと再確認した。
「優木くんの事は大好きです…たった数回の関わりしかないけど…でも、店長を愛してる優木くんを見ると横取りする程の自信なんてないです」
少し前まで陸の存在が大きくて、自分の気持ちが左右に揺れていて、正直息苦しかったのかも知れない。
優木くんに出会えて、好きな気持ちに気づいて、今こうしてココにいて。
陸の事よりさらに好きになった優木くんの側で見守っていたい。
店長はその後、一言も発する事なく事務所を出て行ってしまった。
やっと話が出来て…気が抜けて机に上半身を預けるように持たれかかる。
「言えたぁ…」
ホッとした安心感と複雑なモヤモヤが頭を困らすけど、これで良かったよね?
しばらくしてあたしは意識を夢の中に潜らせた。