初恋が終わる頃に
「そりゃ、あいつ等は見た目で言えば美男美女だよ?けどね、中身は釣り合ってなかったんだよね」
「どういう事ですか?」
「んー…極端に言えば、優木が一途すぎたって事かな」
そんなに優木くんは、店長を好きなんだ…あたしが知らない、ずっと前から。
あたしは何も言えずにただ、うつむいて黙ってしまう。
「浮気を知ったのは、昨日の事だったけどね。でも、何となく勘づいてはいたよ」
口にする先輩は辛そうにグッと歯を食いしばってるようにも見える。
それでも店長の事を今でも目で追ってしまうんですよね…?
「先輩は、良い人です。優木くんに負けないくらい立派な人です」
あたしなんかがフォローしても、何の役にも立たないと思うけど…いつも優しい先輩は、どこか優木くんに似ているようだった。
先輩は急にうつむいたかと思うと、すぐにパッと顔を上げてニッコリ笑顔になった。
そして…あたしに"ありがとうね"と感謝の言葉を零す。