初恋が終わる頃に





何でそんなにあたしを構うの?



そんな目で彼を見ると、そのままベンチに座らされた。



彼もあたしの隣で座っている。



やっと離された腕からは、温かい体温がまだ残っていた。



「……」



二人の間には沈黙という、重い空気が流れる。



こうやって…結局逃げるタイミングを失ってしまう。



「…お前ってさ」



急に沈黙を彼が破り、驚いて肩がビクッと跳ね上がった。



当然、彼もあたしの名前も知らないわけで、さっきから"お前"呼ばわり。



陸もあたしの事"お前"って呼んでたなぁ…



でもあれは名前が知らないからとか、そんな理由じゃないよね。



「そんな怖ばんなよ…やっぱ帰りたい?」



突然そんな事を言われてしまい、どうしたらいいのか分かんなくなった。





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