初恋が終わる頃に





帰りたいかと聞かれたら、帰りたくない。



だけど、このままここに居座るのも悲しくなっちゃう。



どうしても一人になりたい自分がいたはずなのに…



彼の隣が異様に安心出来る場所だった。



「ううん、ここにいる」



「そっか。じゃ、話続けていい?」



さっきのキツい口調ではなく、そっと優しく問いかけるような…そんな声。



あたしは黙ってコクンと一回頷く。



涙は今になってようなく落ち着き、鼻をズルッと啜った。



「泣いてるのは理由があるからだろ?」



「ないよ…特になにも」



人を困らせたくない、迷惑なんてかけさせたくないんだよ。



だけど彼はキッと睨むような目であたしを見た。





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