高野先生の腕のなか



「……先生、」


「大丈夫、ちょっとだけ……」


誰か来るよ、そう言いかけて、やめる。


視界は高野の白いシャツで覆われて、嗅覚をも高野の匂いに奪われた。


……落ち着く。


目を半分ほど伏せて、私も高野の背中に腕を回そうとした時、高野は離れた。




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