高野先生の腕のなか



「それが、あるんだな~」


まるで探偵が推理を披露するが如く、三木先生は立ち上がってゆっくり同じ場所をフラフラと歩き出した。


その動きに合わせて、私は視線をキョロキョロ動かす。


「さっきも言った通り、相手は先生よ。近づくのだって難しいわ」


その点は、私は楽な方だろう。


もともと数学係であるし、他の人とは違った距離感がある。



.
< 116 / 357 >

この作品をシェア

pagetop