高野先生の腕のなか
職員室に戻ると、一人の生徒が指導されていた。緊迫した空気の中を注意深く横切って、自分の席に座った。
机の上に散乱したプリントや生徒の出し遅れたノートなんかを纏めていると、隣りの席にギシリと座った一学年主任の保志先生がため息を吐いた。
指導が終わったらしい。
「お疲れ様です」
「ああ、高野先生、戻られてたんですか」
俺は大体数学教諭室にいるので、物珍しそうに見てくる保志先生に、笑いかけた。
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