高野先生の腕のなか



俺は、あの生徒が保志先生と仲良く話す様子を思い浮かべた。


「……それが、ピアス見つかった途端、″うるせーよハゲ″ですよ。随分格が下がったもんです」


自嘲気味に笑う保志先生に、しかし俺は笑い返せなかった。


どんなに裏切られた気分だっただろう。けれど、大した事を言い返せないのが教師というものだ。


どうにもやり切れない思いだったことだろう。



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