高野先生の腕のなか
一人になった俺は、先ほどの保志先生の言葉を頭の中で復唱した。
『生徒たちは私らに心を開いているようで、実際は違うってことですよ』
そうなのだろうか。
では、山崎さんもその類なのだろうか。
俺の腕の中で泣いてしがみついてくる山崎さんを思い出す。
あれを、心を開いていると仮定すると。
″うるせーよハゲ″と睨んでくる山崎さんを思い浮かべる。
いやいや、山崎さんはそんな子じゃない。何を考えてるんだ、俺は。
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