高野先生の腕のなか



頭を振って山崎さんの荒んだイメージを振り払ったとき、俺はあることに気づいた。


″そんな子じゃない″……?


なんでそんなことが断言できるんだ?だって、俺は山崎さんのことを何も知らないじゃないか。


山崎さんが普段誰と話して、何をしているのか。


どんな人が好きで、何に心を動かされるのか。


俺は弱った山崎さんしか知らないけど、それが普段もそうなのか、誰にでもそうなのか、それとも俺の前でだけなのか、それすらも分からない。



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