高野先生の腕のなか



彼女が話すには、入部当時から好きだった部活の先輩に告白したところ、『タイプじゃない』と断られたそうだ。


今時そんな酷い男がいるのか、と俺は驚いた。いや、今時だからこそ、ということもあるのか。


「それで、君はどうするの?」


「もう嫌です。先輩の顔を思い出すだけで辛いです。早く忘れたいです」


「そうか。君のことを好きになってくれる人は必ず現れるよ。先輩のことは早く忘れちゃいな」


笑いかけると、彼女は顔を赤らめた。



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