高野先生の腕のなか



男に笑いかけられる免疫がないのだろうか。


「せ…、先生ってやっぱり優しいですね」


″やっぱり″と言ったことで、俺は彼女が最初から俺に慰めてもらいに来たのだと理解した。


「そう思ってくれたなら嬉しい。僕で良かったらいつでも相談に乗るよ、ここでね」


彼女はぺこりと頭を下げ、退室した。結局、コーヒーはほとんど残していった。



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