高野先生の腕のなか



「先生?」


「俺じゃダメかな」


「は?」


「俺じゃあ、代わりになれないかな」


高野は変なことを言う。


「山崎さんの気持ちの整理がつくまで、俺が代わりになるよ」


代わり、というのは、フられた相手のことを言っているらしかった。私はそれに驚きながら、ゆっくり頷いた。


私も心の拠り所が欲しかったのだ。



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