高野先生の腕のなか



ため息を吐いて、踵を返して教室に向かう。


ロッカーから体育館履きを取り出すが、なんだか行く気がしなくて机に置いた。


何をしてるんだろう、私は。


分かっているのだ。こんなに近くにいて、忘れられるはずがないこと。


この気持ちを隠し通せるわけがないこと。


全部分かっているのに、認めたくない。



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